2024.06.24
お知らせ メディア掲載

世界初!稀な心疾患である「シミター症候群」の新術式での手術に成功

小児・心臓血管外科チームが、非常に稀な先天性心疾患である「シミター症候群」と診断された2歳児に対して前例のない術式での修復手術を実施し、成功したことを本日発表いたしました。

https://newscast.jp/news/7431754

 

近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)心臓血管外科主任教授 坂口元一、同客員教授 小田晋一郎(京都府立医科大学大学院医学研究科 心臓血管外科学主任教授)、同診療科講師 浅田聡らを中心とした小児心臓外科チームは、令和6年(2024年)5月22日(水)に、右肺から下大静脈への肺静脈還流異常が見られる、非常に稀な先天性心疾患である「シミター症候群」と診断された2歳児に対して前例のない術式での修復手術を実施しました。手術は成功し、患者はすでに退院しています。
今回用いたのは、別の部分肺静脈還流異常症の治療時に用いられる「Double-decker法※」を応用し、成長に影響を及ぼす人工物は使用せず、患者の心房壁のみを用いて血液を再循環させた、世界初の術式です。シミター症候群の従来の手術では、術後に閉塞や狭窄が生じるケースがありましたが、今回の術式により術後閉塞のリスクを軽減することが可能であり、今後、シミター症候群の手術において汎用性の高い術式となることが期待できます。
※ Double-decker法:右上肺静脈が上大静脈に還流するタイプの部分肺静脈還流異常症という疾患の治療で用いられる術式で、最小限の心房切開とパッチによる心房内血流転換などを行い、自己心房壁を中心に可能な限り自己組織で再建する方法

【本件のポイント】
●非常に稀な先天性心血管疾患であるシミター症候群の患者に対し、別の部分肺静脈還流異常症の治療時に用いられる「Double-decker法」を応用し、治療に成功した初めての症例
●人工物を用いず、患者の心房壁のみを用いて血液を再循環させ、術後の狭窄や閉塞のリスクを軽減
●今回の術式が、シミター症候群の手術において汎用性の高い術式となることに期待